オープンダイアローグという精神医療のひとつの試み

週末にある勉強会にて精神科医の院長から、オープンダイアローグという精神疾患の治療法(?)についての話を聞く機会があった。

ダイアローグは対話、モノローグは独り言

オープンダイアローグというのは精神疾患の患者さんに加えて二人のセラピストとで車座になりお互いの話を、聞く、話す、こんな行為によって薬を過剰に処方される事無く、心の病を治す方法らしい。

話すという行為を重視していて、結論を求めない、クローズしないので、オープンと呼ぶのだろう。80年代のフィンランドで開発され、薬による治療より効果がある事が実証されている

講演のあと、4人ずつでグループワークを行った

話してはひとり、残り三人はただ話を聞くだけ
話すという行為と聞くという行為を明確に分けた時にどう感じるか、その体験をするのが目的だった。

人の話を黙って聞くと、聞きながら様々な思いが湧く、それを自分の内的会話として心の中で繰り返す。聞き手にとってはモヤモヤとした想いが心に渦巻く事を体感する事になる

話し手にとっては、ただうなずいて聞いてくれる人がいるというのは、自分がその場にいていいのだという安心感が醸成されてくるのが分かる。

幻聴や妄想等の精神疾患も、その原因は患者本人の脳や身体にあるのではなく、人と人との関係に、その原因があるという事のようだ

したがって、自分が受け入れられ安心できる場で自分が感じている事を聞いてもらううちに患者自身が本当の原因に気が付き、治癒されてゆくのだという

もうひとつ、この会でポリフォニーという単語を初めて聞いた

シンフォニーの反対語としてのポリフォニー

シンフォニーは予定調和なので、物事を予定通り運ぼうとしたり、周囲との調和にこだわって過剰に適応したりしない、その事をポリフォニーという言葉で表現していたようだ

仕事の現場では生産性の向上や効率の改善を常日頃求められる。

パワーポイントを使って業務の報告をする時には短時間で必要な情報を無駄なく重複する事無く表現される事が期待されているし(MECE)、どんな仕事にも日程や目標のような目に見える形での成果を要求される。

言ってみれば、仕事の現場というのは共に働くチームや組織から目に見えぬシンフォニーで縛られているともいえ、これは病の遠因とも成りえそうだ

話を聞くということ
調和を乱す事をおそれないということ

心の病を防ぐヒントをもらったような気がした