右か左か、紅か白か、いや、そういう問題じゃ無いんだってば

http://www.nhk.or.jp/special/onair/090101.html
元日のNHKスペシャル『激論2009世界はどこへ、そして日本は』というのを見ていて、海外旅行より草津で温泉が今の若い人達の間で流行なんて話があって、温泉のロビーで何もしないでいる若者を女将がポケラー族と名づけていた。パネラーの一人勝間和代さんが若者の4人に3人が将来に希望が持てず根暗になっている事が、海外に興味が持てず若者が保守化していることの原因と解説した時に、会場の若者も拍手で賛意を示していた。

会場の若い人が海外なんかより行き届いたサービスの日本が好きと言っていて、大学も定員割れでだれでも入れる「お客様状態」だし、今の日本が蓄積を食い潰しているだけという竹中さんの訴え、グローバル化は是か否の問題ではないと言っていた岡本行夫さんの言葉、を彼らはどう受け止めたのだろう。

「競争」から「共生」が21世紀の世界を生き抜く心構えだという理想論で文科省が「ゆとり教育」を始めたらしいのだが、大学まではお客様状態でいきなり競争社会に投げ出されたら、こりゃ、若者だってたまらない。「教育、教育、教育」、と勝間さん最後に言っていたけど、僕もそう思う。

このNHKのパネラーの配置、真ん中に司会者、右側(三人)には竹中さんを初めとする規制緩和、市場原理派、そして左側(三人+勝間)には金子勝らの反小泉改革派が並んでいて、勝間さんも左側の席に座っていたのだけど、NHKとしては彼女をどちらに座らせるかは迷っただろうと思う。その迷いが左側の一番端に勝間さん、という事に現れていて、あの席順は面白かった。

今のマスコミの論調は、二元論、規制緩和を推し進め改革派か反小泉改革&格差是正派か、話としてはその方が分かりやすいのだろうけど、現実には勝間さんも言っているようにグローバル化を前提として日本という国を具体的にどう暮らしやすくするんですか、政治ばかり当てにしないで、一人ひとり、税金のこと、国の仕組みのこと、もっと良く勉強して、変えて生きましょうよ。とこっちの方がずっと説得力がある。

あの番組の中では反小泉改革派の人達、アメリカの格差の広がりとか富裕層の無謀な借金とかを取り上げて、市場原理主義は失敗、これからはオバマの主張する環境重視のインフラ投資だなんて話をしていたけど、日本の方が省エネ技術は進んでいるのだろうし、金子氏の話は「アメリカではの神」にしか聞こえなくて、自分達のことを自分達で考えるという姿勢が感じられない。

紅白歌合戦もそうだけど、二元論、どっちが勝つか、みたいな番組作りというか世論作りというのは分かりやすい、別に合戦なんかしなくたって、いい歌番組は作れるはず、解決策を提示できない二元論は無意味な床屋談義にすぎない。という意味で記憶に残ったのは勝間さんの話だけだったなぁ。