不揃のみかん達

11月の中頃、前日の雨が上がり、晴れ渡った青空を背に冠雪した富士山を右手にとらえながら新東名を西へ向かった
昨年定年を迎え故郷の三ヶ日で親のみかん畑を継いだ友人夫妻と会うために

約100本のみかんの木があるその畑でみかん狩りをしないかとのお誘いを受けた
小学生の頃、遠足でもいだ湯河原のみかんは酸っぱくって美味しくなかった。あの時は、熟して地面に落ちたのを選ぶといいよと大人から聞いた
とんでも無い大嘘だ

友人の話では、みかんは木によって味が少し違うので、一個もいで食べて美味しかったら、その木の実を収穫するといいよとの事
木によって味に違いはあったものの、どの木のみかんもとても美味しかった

みかん狩りって、楽しいんだ、という事をこの歳になって初めて知った

4箱、総量40kgのみかんをもぎ取り、友人から格安の値段で買い取り、あまりにも多いのでご近所におすそ分けした。あれから数週間経つものの、まだ食べ尽くせずにいる

傷もあるし形も不揃いでお店に並べるには難がありそうだけど、その味はどなたからも絶賛だ

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定年後、農業という話は時々耳にする

友人夫婦は互いの郷里が同じという事もあり、月に何度か三ヶ日まで足を運んで農業を楽しんでいるらしい

楽しそうでいいね、と言ったら、収穫は楽だし楽しい、でも真夏の薬剤散布が過酷だとのこと。山肌の足場の悪い畑で頭からポンチョのような物をかぶって薬を撒くらしい。下草刈りもあるし、摘果もしないと美味しいくならないらしい

東側に面したなだらかな山肌にある畑
目の前には浜名湖が拡がり、ただただ湖を眺めているだけでも清々しい

奥様がおっしゃるには三ヶ日は横浜より、ずっと温かいのだとか

その温暖な気候だけでなく、自分が生まれ育った郷里の持つ暖かさ
なつかしい同級生や親戚や、そんな旧知の人々との交わりが、なおいっそう、その土地を温かく感じさせていたのだろう