アメリカ、ファースト、と叫ぶ米国大統領

8年前、米国初の黒人大統領誕生の時にはその就任演説を聞いた感動を日記に書き留めていた。昨日のトランプ大統領の演説については何を感じたのだろう?

アメリカ、ファースト
ルールは2つ、米国産を買う事、米国の労働者に仕事を上げること
Bring back, 仕事、国境、富、夢
偉大なアメリカを取り戻す
印象に残ったフレーズはこんな所

世界に自由と民主主義を拡げる事はもうやらない
世界中どの国も自国の富と幸せを第一に追求する権利を持っている
が、新大統領の方針

トランプ大統領を選んだ米国民の本音は綺麗事はもういい、仕事をくれ、昔のあの豊かだった暮らしを取り戻したい。グローバリズムに伴い国外に仕事を奪われた俺達、その声を無視してきたワシントンのエリートたちにはうんざりだ
というのが、米国民の多数の声

共産主義下にある中国の首相は、初のダボス会議での基調講演において自由貿易の堅持を主張、かたや民主主義と資本主義の盟主であるはずの米国大統領は隣国との壁を高くし保護主義を支持している。

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オバマ政権の8年間で失業率は下がり、世帯収入も増えたはずなのに、米国のラストベルトと呼ばれる中西部の人達は失業とドラックにおかされ自国の繁栄からは取り残されていたという。

製鉄所が閉鎖され失業したのであれば、職を求めて移住すれば良さそうなものだけど、生まれ育った土地、親族や仲間のいる土地というのは容易には離れがたいものだ。

自由貿易とかグローバリズムというのは、世界全体でみれば貧困が減って生活が豊かになる人達を増やす仕組みなのだと言えるけど、安い労働力を求めて工場を移転する企業のあり方に歯止めをかける手段はなく、工場閉鎖に伴い失業した人達にとっては憎しみの対象となった。

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人は、貧困にあるという経済的理由があったとしても、移住したり、国境を超えたり、する事を容易にできるわけではない。

住んでいる土地には家族や仲間がいる。
言葉の壁もある
習慣の違いもある

何を正しいと考え、何を幸せと感じるのか
その拠り所は宗教や民族にあるのだと思う

グローバリズム自由貿易も、それは保護貿易主義が戦争の原因となった先の大戦の反省から生まれた近代国家の秩序のひとつだ。

米国に端を発する保護貿易主義があらたな争いの種となる恐れはないのだろうか。
と懸念する一方、これら秩序とは別に、生活に根ざした宗教や民族主義がこれからの世界で大きな力を持っていくのであろうなと思う。