将来の夢は?高橋俊介氏

キャリア形成という言葉を最近耳にするようになった

終身雇用を漠然とあてにしていられた高度成長期に育った団塊世代と違い、グローバリズムの荒波をもろにかぶって翻弄された僕らの世代からは、一社あるいは一職種で勤めあげる事ができるとは信じていない。

そんな背景もあって、キャリア形成について慶応SFC の教授の講演を聞く機会を得たので、メモ

どんな仕事が向いているのか、と考えずに、自分はどんな動機で仕事をしているのか、自分らしさの基本である動機を知る事からまず始めるといいよ、との提案が印象に残った

動機そのもにに善悪はなく、要は使い方の問題、それを列記すると、

達成動機、影響欲、賞賛欲、闘争心
社交性、理解欲、伝達欲、感謝欲
抽象概念嗜好、徹底性、自己管理欲

例えば、闘争心が強く、逆境からの立て直しなど復元欲が強い人。こういう人がリーダーになる事で業績が上向くことはままあるケース。だけども、俺ががんばってこうなったんだから、という経験を部下に押し付ける結果、パワハラを引き起こすのもこの手のタイプとか

人からされて嫌な事はしちゃいけないよ、と躾ける親は多いけど、自分が得た喜びを他人も同じように喜ぶはず、というのもこれも違うよね、というのが講師の意見

おしゃべりには2つのタイプがあって、ただ会話している事それ自体を楽しんでいるのは社交欲、自分の意見を伝え相手の行動まで促そうとするのが伝達欲。ただのおしゃべりを無駄と感じる男性が多いのは社交欲より伝達欲が勝っている例のひとつ。

理解欲というは相手を理解したいと思う動機のこと。米国人は特にこの志向が強く、相手の表情から感情を察知する能力に長けている。表情を作るのは22個の筋肉なのだが、そのうち2つの不随意筋(本人の意思で動かせない)の動きを見れば感情が分かるらしい。その2つとは目尻と口角、目が笑っていない表情というのは、こうして作り出される。

抽象概念指向が強いのは日本人とインド人で中国人は弱いとか
現実的で打算的な中国人とゼロを発見したインド人の違いがここにある。

目の前の仕事の課題を抽象化するのをチャンクアップ、また戻って具体化するのをチャンクダウンと呼び、その両方を行き来する事で、より深く課題を理解できるようになるらしい。

仕事はやりたい事と向いている事とは違う
それは好きな人と結婚しても向いているタイプでは無かったと思い知るのと似ている。

計画的偶発性理論 
偶然がキャリアを作るが、確率には影響を与えられる

目標より習慣
仕事のキャリアをいつこうしてああなってと目標を立ててもうまくは行かない。先の事を見通せる時代ではないから。

大切なのは習慣、例えば子供に本を読み聞かせる。どれだけ読み聞かせたら、いつどうなるかという結果を予期するのは意味がないけど、どこかで何かの形で役に立つ

大人になったら、考える、時間を持つべき
日々のスケジュールに追われこなすだけで終わるのではなく、一日何分か、考える、ただそのためだけの時間をとる

ビジネスで成功した人の体験を聞いても無駄
その人が話しているのは認識であって事実ではない

キャリア形成は管理可能性と予測可能性が低い

この話を聞きながら、たしかにキャリアの変化って偶然がもたらした結果だったなと思いだした、ふらっと立ち寄った展示会で出会った旧知の友人、そこから仕事が広がったという経験。

友達や上司から誘われ転職という話もよく聞く

ネットワークの形成、気の合う相手、今はただそれだけの事であったとしても将来自分の人生と交わり、変化を与え合う、そういう間柄に発展する、そういう事なんだろう

自分自身の仕事の動機は何だろう?
やり遂げた仕事が世の中にどう貢献できるかという事に興味はあるから達成動機は高そう、でも闘争心はさほどでもない
日々の仕事の中では、理解欲とか伝達欲を発揮しているかな
徹底的にやるとか自己管理欲とかは低いのは認めるけど、抽象概念には興味あり

等と考えると、子供の頃に将来の夢は?
と聞かれ、パイロットだの、外交官だの、書いた事があって、今は全然違うけど、やりたい仕事っていうのは職種ではなく、自分らしさを形作っている動機が満たされているか否か、なのだと分かる

向き不向きなんてやってみなくちゃ分からない
それは仕事も結婚も
ですよね(笑)

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