村上春樹の新刊本『職業としての小説家』

IoT、ディープラーニング、最新のテクノロジーが我々の生活にどんな変革をもたらすのか?きっとキンさんなら興味をもつと思うよとマイミクさんに勧められた本『未来に先回りする思考法 』を探しに丸の内のオアゾに立ち寄った

一階のフロアで目的の本はすぐ見つかったものの、並べられた新刊本にわくわくしながらうろうろとしていて、目に入った村上春樹の新刊本『職業としての小説家』

紀伊國屋書店が初版10万部のうちの9万冊を買い取ったと話題にもなっていたその本

さしたる関心ももっていなかったのに手にとってページをめくってみたら、彼独特の回りくどい、でも本質をついた、その文章に買わずにいられなくなり、探しに行った本は置いておいて、まずはこの春樹本を購入した

かたや、グローバル&テクノロジー
かたや、作家としての心模様を描いたエッセイ

まったく毛色の違った本なんだけど、そのいづれにも引かれている自分に気がついた

過去を振り返って自分が強い影響を受けた本を挙げてみる

『こころ』 夏目漱石
『新・国富論』 大前研一
ノルウェイの森』 村上春樹


三角関係のもつれから友人を死に追いやったと自責の念にかられ自ら命を断つ、漱石の代表作のひとつでもある『こころ』は暗いし重いし、でも、こんな内容なのに中学の教科書に載っていて、悩める生徒だった自分にとっても忘れられない一冊となった。

社会人として働き、世の中の事に少しは興味を持つようになった頃、大前研一先生の『新・国富論』は、現場の情報に立脚した明晰な分析が書かれていて、経済動向の理解や国際政治の理解に大いに役立つ一冊だった。

その一方で、『ノルウェイの森』のような、恋愛小説という物語の形を借りながら、心の深い闇を描いている小説に深い感銘をうけたのも同じその頃。

振り返ってみて思うのは、組織と個人、冷徹な頭脳と血の通った心と、まるで車の両輪のように、2つの異なる嗜好が自分のうちにあるのだなと感じている。

『職業としての小説家』の中で、こんな記述が心に残った、

オリジナルとは、1.独自のスタイルで一目でその人の表現だと理解でき、2.自らバージョンアップ出来る自発的内在的な自己革新力を有し、3.その独自のスタイルが時間の経過とともにスタンダード化し、人々の価値判断基準となる事。

だという

彼の著作、『ノルウェイの森』と『1Q84』とを比べれば、彼の言うバージョンアップの意味が分かるだろう

人真似でなく、一人の人間が生きた証として、自分もオリジナルな仕事を後世に残したい、『職業としての小説家』というのは、そんな気持ちにさせてくれる良い本です

(まだ読み終わっていないけど)