映画『奇跡の2000マイル』感想

『奇跡の2000マイル』- オーストラリアの砂漠を女性1人で横断する感動のロードムービー
という映画をみた

ストーリ性の高い物語も派手なドンパチも見る気になれず、ただ広大な自然を肌で感じる事ができたらいいなと、街中の熱気を避け、涼みがてら選んだフィルム

7ヶ月かけてオーストラリアの砂漠を4頭のラクダと愛犬を連れ24歳の女性が横断した実話の映画化。旅の途中、アボリジニとの出会いや遭難しかけたりと様々な経験を重ねる物語、原作「TRACKS」は1981年出版されベストセラーになったという。

様々な経験があったとはいうものの、赤茶けた大地と青空に挟まれた空間を1日30kmのペースで歩き、夜はラクダの荷物を下ろしシュラフで眠る、ただただその単調な日々の繰り返し。

奇跡の2000マイルというのは邦題で原題はTRACKS。訳せば複数のワダチ。砂漠の砂に描かれたラクダ、犬、人、それらの足跡。

相棒となる動物達と共に孤独な砂漠を横断する、そんなイメージが原題には込められている

オーストラリア、アメリカ大陸、これら新大陸と呼ばれる地に白人が作り上げた文明都市。

何もない、ゼロの不毛の大地を切り拓き、作物を植え、文化を花開かせる。開拓者の支えとなるのは、砂漠で生まれたキリスト教の教えとフロンティア・スピリット。

自然と共生していたアニミズムに染まった先住民族の聖地をも白人たちの手で塗り替え、文明開化の恩恵を人類にあまねく行き渡らせる事こそが彼ら開拓者の使命。

銃と十字架を携えた黒船が日本を訪れたときのように

Tracks という主題から見て取れるのは、人生という長いロードは孤独なまま歩いて行くには長すぎるという事

連れ添いがいて、仲間がいて、歩む目的が見つけられる
そんな人生への応援歌とも思える映画でした