映画『そして父になる』鑑賞録


セレブなタワマンで暮らす子育てを母親任せにしている仕事人間の一流企業のリーマンが子の取り違え事件と研究所への左遷をきっかけに子供との交流に目覚める話

地元の外国人が電球を買い求めに来る、昼間子供の玩具を直す余裕もある、そんな寂れた田舎の電器店で、三人の子供を育てる子煩悩なリリー・フランキー。彼の妻はパートで家計を支える口は悪いけど人情味豊かな真木よう子

子供はピアノを習い、車はレクサス、小学校はお受験、のセレブ家族と小さな風呂に父子が一緒に入り、車は店の広告が脇に描かれた軽トラの庶民家族が双方の子供の取り違え事故が分かった時点から交わり合う。

泣ける映画と聞いていて期待していて、それぞれの役者の演技はとてもいいのだが、感情移入できず、見終えての感想もこれといってなかった

高層マンションに暮らす一流企業のサラリーマンはセレブなのかと疑問に思うけど、貧富の差の少ない日本なら、その程度でもセレブ扱いなのかも知れない。安倍首相が導入したがっているホワイトカラーエグゼンプションはこのような給与所得者にあんたは高給取りだよと錯覚させて企業のために残業代を削減するつもりなのだろう

成果主義になれば、無駄な残業が減って、さっさと家に帰ってワークラウフバランスを重視する生活をする人が増えるって、同調圧力の強い日本の企業では期待薄。

スタッフ程度の給与でエクゼクティブ並みの働きぷりを、というのが安倍首相の期待するホワイトカラーエグゼンプションだよと誰かがつぶやいていたけど、そうなのかも知れない

リリー・フランキー演じる電気屋の主人は、明日ですむことは今日はやらない主義、とか。今どき、コンビニのオーナー店長だって、夜勤もあるし、日中も気が抜けない。電球なんてコンビニでだって売っているのに、こんな調子で子供養えるの?奥さんが弁当屋でパートしていたって、生活は大変なんじゃないの?

などと現実的な事も考えてしまうけど、テレビには子沢山のビックダティなんて人も出てくるので、まぁ金が無くても、なんとかなるものなのかも知れない。

この映画のテーマは日本における格差を描く事なのか
あるいは、お金より大事な物があるのだと訴えたかったのか

そして、そんな社会背景を描きつつ、親子の愛情とは何かを描きたかった、という事なのだろう
でも、親子の情と収入の大小って、なんか関係ある?

もし、子供が6歳の時、産院での取り違えが分かったとして、じゃ交換しましょう、という話になるのかな?
自分だったら、とても無理、生みの親より育ての親
その違和感がついてくるから映画にも感情移入できなかったのかな

映画『そして父になる』とタイトルを付けたのだから、今までは福山雅治は父となり得てなかったという事なんだろうな

話題になった映画、という割には、普通の映画でした