ボリウッド映画を侮る無かれ

事業計画を終え一息付いた事もあり、この一週間で、つたやでレンタルして借りた映画6本、ロードショー1本と映画ウィークだったこの週

早めに仕事を切り上げ、映画見たり、食事会に招かれたり、とアフターが充実していただけでなく、仕事の方もサンフランシスコでの学会の情報をきっかけに次の技術ネタを仕込む議論を始めたりと、賑やかな一週間だった

見た映画は
フランス映画2本、ハリウッド3本、園子温1本、ボリウッド1本

その中でひとつ取り上げるなら、ボリウッド映画『マダム・イン・ニューヨーク

ボンベイとハリウッドをくっつけボリウッド映画と呼ばれるインド製シネマ。歌と踊りで色彩鮮やかな映像が売りのボリウッド映画だが、この作品は、そんな色彩だけでなく、ストーリも素晴らしく心温まる秀作。

ハリウッド映画は、上映中の『アマリカンスナイパー』にしても、戦場のリアリティを伝え実話をモチーフに心に響く作品ではあるものの、そこにはアメリカの力の正義を肯定するメンタリティが流れている。

敵は悪魔であり言葉を発しない野蛮人として描かれ自国のスナイパーは愛国心に富む番犬として描かれていた。

一方、『マダム・イン・ニューヨーク』に登場するのは、英語を学ぶためニューヨークの語学学校に通う異国人達。お互いに英語が片言なのに、それぞれの母国語でコミュニケーションを取る努力をする姿が印象的で、移民を受け入れ発展したアメリカの良き一面をうかがわせる。

最後の結婚披露宴でのマダムのスピーチには目頭が熱くなった。ネタバレになるので詳しくは書かないけど、鑑賞後家族への想いが深まった事は伝えておきたい。

言葉が通じるか否か?

いづれの作品からもコミュニケーション手段としての言葉の持つ重みを感じていた

中東でのイスラム人質事件はサミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』で予言されていた衝突の帰結とする理解の仕方があるらしい

西洋文明(欧米)、儒教文明(中華文明)、日本文明、イスラム文明、ヒンドゥ文明、スラブ文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明、8つの文明の時代を世界は迎えるだろう、という予想。1996年に出版されたこの書、読んでみる価値がありそうだ

1996年当時と比べると、世界はネットワークで結ばれ、異なる文明の相互理解は深まる事が期待できそうなものだ。でも、現実にはテロリスト達はyoutubeを利用し自分たちの正当性を主張し、世界中から支援者を募っている。

異なる文化や言語を土台としたシネマは相互理解の役に立つのではなかろうか?ハリウッドだけでなく、いろんな国々で映画が作られ、翻訳されたら、文明の衝突の回避に役立たないか

と、そんな事を想う、冷たい雨の降る冬の午後