「やまと」盆地ではぐくまれた日本の心

風景の先に山が無いと落ち着かない

高校の時、そう言って、東京の大学に受かった友人は住み慣れた盆地を離れようとはしなかった。高校生の頃、長野に住んでいたけど、元々転勤族の僕にとっては山々に囲まれた土地に縛られる事は全く考えられなかった。
大学に入ったら東京で一人暮らしをするのが夢だったし

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「やまと」の語源は「山に囲まれた処」と書かれた古事記にまつわるエッセイを読んだ。元は奈良盆地を意味した言葉が日本の総称として使われるようになったのはその頃かららしい。
昨年京都に行った時に、駅の北側には山が迫っていて、ほぉ、ここも盆地であったのかとちょっと感心した。

奈良、京都、周囲を山で囲まれた場所に、なぜ都(みやこ)を構えたのだろう?
夷狄から身を守る自然の城壁、自分たちだけの華やかな世界、きっと平安の貴族達の拠り所として選んだに違いない。

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江戸の時代には、地域毎に藩札が発行され、独立した経済圏が形成されていた。山々に囲まれ、自然に抱かれ、独自の文化が、日本の地方を彩っていた。織物、焼き物、工芸品、等など、そして独自の教育制度を持った地方で育った藩士達が明治の維新を担ったというのも興味深い。日本の地方というのは都会から独立して食い扶持を稼いだら強い力を発揮する。それは現代にも当てはまると思う。

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盆地という自然は日本人のメンタリティの形成に深く影響していると思う。そして、盆地という小さな経済圏と文化圏が存続できたのは外国から侵略を恐れずにすんだ島国という日本という国の独自性ゆえ。

そう考えると、自らの国を「やまと」と呼んだ古人の気持ちが偲ばれて感慨深い