刹那的な電力と蓄積としてのエネルギー


電力ってエネルギーのことだよね、と言われると納得してしまうのだけど、実はちょっと違う

電力がW(ワット)で電圧がV(ボルト)で電流がA(アンペア)で、というのはきっと学校で習ったはず。1W=1Vx1A。
1500Wのエアコンと700Wの電子レンジをいっぺんに使うと、その時の電流は、家庭用の電圧を100Vとして、
(1500W+700W)÷100V=22A
だから、20Aのブレーカは落ちちゃうよ
という計算はきっと一度はやった事があるのだろう

このW(ワット)という単位、実は違う一面を持っていて、エネルギーの単位J(ジュール)と関係している。
W(ワット)=J(ジュール)÷秒

また、1cal(カロリー)=4.2J(ジュール)なので、カロリーみたいなものだよ、といわれるとこのジュールという単位、分かり易いかも知れない。
(高校の物理の授業が嫌いだった人はきっと忘れていると思うけど)

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電力というのはある瞬間(1秒)のエネルギーの消費量

電力会社というのは、そういう意味で、この一瞬のエネルギー消費をとっても気にしていて、また一瞬でも停電を起こすまいと、緻密な管理体系を整えている。

日本の停電の少なさというのは特筆すべきものだった。あの震災の前までは。

原子力発電というのは、きっと今回の教訓を生かしてより安全な体制というのはきっと作りえるのだろうと思う。でも、核のゴミ、この処理についてはまだ明確な答えがみつかっていなくて、とりあえず中間貯蔵所みたいなとこを作り続けるしかないらしい。

フィンランドでは、地下500mのとこに廃棄して、一杯になったら蓋をして、10万年、そこに保管するつもりらしい。半減期とかいうのがあって、生物に対して安全なレベルになるにはそれだけの年月が必要とか。

秒の世界で生きている人達に10万年というスケールは想像の外

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石油や石炭は何万年も前に地表に降り注いだ太陽のエネルギーが動物や植物の住む生態系の中で、その形を変えて地表にとりだされている。温暖化とはいうものの、そういう意味では同じ生態系の中でのエネルギーの循環。

それに対して、原子力というのは生態系とは全く無関係に、太陽や地球の奥深くで起こっているはずの、核反応を生態系に持ち込んでしまっている。

生態系というのは地表から4km程度の薄っぺらな大気で覆われた層で、地球を離れて遠くからながめたら、なんとも心持たない存在に見えるのだろう。

生態系内のエネルギーの均衡を崩してしまう恐ろしさを、中沢新一著『日本の大転換』を読みながら考えていた。

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電力は一瞬のエネルギー
本当のエネルギーは電力に時間をかけた値

エネルギー問題というのは時間というスケールを合わせて考えないといけない

W(ワット) = J(ジュール) ÷ 時間(秒)
W(ワット) × 時間(秒) = J(ジュール)

という式の意味するところは、きっと、そういう事なんだろう。