「たかが」と呼ばれるものづくり
ユニクロで買えば三足千円程度なのに、一足千円の靴下を売っているTabioというブランドを作っている靴下屋、その社長のカンブリア宮殿での話。
「たかが靴下」
なのだが、そのたかがと人から言われる商品を売って利益を出す、という事には大きな努力と工夫がきっと要る。
先日、1台ウン百万円もするようなプロフェッショナル向けの機器を作っている人が、この不況でちっとも売れなくなった。昔は良かったよ、と嘆いていた。
今の世の中デフレのせいもあるのだろう
高級な商品を売っていた人がコモディティと呼ばれる安い価格帯の商品を手がけて成功した例はあまりなく、むしろ、「たかが」と呼ばれる商品をビジネスとして扱っていた人の方が、無駄なく安く作って、高くうる術に長けている気がする。
この社長のやった事は店舗での売れ筋情報を協力製造工場に迅速に提供して在庫を減らすこと。多品種の靴下を速やかに出荷できる流通センターを完備したこと。そして、商品の品質に妥協しなかった事。
というようなことで、昔っから製造業で言われているQDC Quality Delivery Cost をきちっと管理する、言ってみればそれだけのこと。
だが、そんな当たり前の事を形にするのは社長の情熱、思い入れ、次第。
その情熱を裏付ける靴下屋創業者越智直正(71)の次の言葉を書き留めておきたい
靴下は打ち込めば打ち込むほど応えてくれた。この世にあまった人間なんて一人もおらん、と教えてくれた。靴下人生56年。人生に棄物なし、しなくていい苦労は何ひとつなかった。
金策に走り回り、甘くはない情けのかけ方、かけられ方を知りました。思えば、「勝負あった」という時こそ、何かの始まりでした。「靴下教」の信者は世界でたった一人。