生きる力は自然の中で育まれ、支えあうふたり、山形古寺集落

お風呂上りにソファーに横になって、ふと合わせたチャンネルから、雪深い山里の集落で暮らす老夫婦の物語が映し出されていた。

'60年代には林業で栄え50世帯いた集落の人々も今は2世帯だけとなり、80歳を超えた姉さん女房と5歳下の無口な夫との二人暮らし。真冬ともなれば積雪は3mにも達し、雪下ろしが日々の日課

蔵には山で採れた野菜だけじゃなく、ハクビシンやクマといった動物性蛋白も大きなポリ容器に収められていている。吹雪の中、二時間の道のりをスノーモービルでたどりついた街で妻のすい臓ガンの転移の有無をCTスキャンで調べ、医師の報告を受ける。

こんな過疎の村にいつまでも留まらなくてもよかろうと孫達は思うのだろうか。不自由に見えても、そこに夫婦ふたりで支えあい、必要としあう暮らしがあって、節分の豆まきやお節句で並べられた人形達の姿も、ふたりの睦まじさを象徴しているかのようだった。

便利な街の暮らしより、夫に雪下ろしをしてもらわなきゃならない生活、妻に料理を作ってもらわなきゃならない生活。人の生きがいって、きっと誰かに必要とされている実感から生まれるのだろう。

電気が途絶え、下水が壊れても、薪があれば、雪に閉ざされても生きていける。食糧だって蔵にあるし。

震災で都市生活の脆弱性を目の当たりにする昨今
自然に向き合って生きる人々の暮らす山村での生活は意外とロバストなんじゃいかと、ソファでまどろみつつ思い耽っていたのだった

にっぽん紀行「ふたり雪に包まれて 山形 古寺集落」
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011025795SC000/