芥川賞受賞に期待した『苦役列車』だったけど…

芥川龍之介という名前は誰でも知っているだろうし、彼にちなんだ芥川賞を受賞するくらいだから、どれほどの作品か、と期待して読んだ『苦役列車』。
なんですか、これ?
ただの日記じゃない。
私小説という自分自身の生活体験を小説として描くというカテゴリーが存在する事は知っているけど、ネットでブログが読めるこの時代、お金を出して買うほどの価値があるの、この本。
というのが僕の読後の感想。

自分の生活をただ書くだけなら、世の中にある数多のブログと一緒。
かりにも賞を取るのなら、自分の生活を離れた、なにか主題のようなものがその文章から伝わってこないと読者を失望させるだけなんじゃないのかな。

不幸な生い立ちであったにせよ、すさんだ生活をしていたにせよ、ただ、それに流されています、なんて小説、よんでみたいとはだれも想わないよね。

賞を与える側にも、それなりの見識ってもんがあるだろうに
ぶつぶつ…

なんて感想を僕が持ったのも、芥川賞とか作家という職業とかに対して、ある種の憧憬の念というか、リスペクトする気持ちがあるからなんだと思う。

でも、もしかすると、そんな考えはもう過去のものとなっていて、誰でも作家にでもライターにでもなれちゃう今の時代。電子出版という新たなメディアの登場もあって、出版社が権威を持って、本を出す時代も終わっているのかもしれない。