風に抱かれる

初めて気球に乗った

静かになめらかに、浮き上がるというより大地が沈んでいく感じがして、見る見る視野が広がっていく。
地上に立っている時には森に遮られていたのに、登るにつれ、八ヶ岳の裾野が見える。

天気が良かったので、地上からも見えていた槍ヶ岳
さらに、空に登るとそのふもとの街並みも見えてきた。

普段、私たちは森に囲まれ、自分の知っている世界が全てだと思っているのに、少しの勇気を持って、飛び上がる事ができたら、世界は拡がるのに。
視界がひろがる、視野を広げるとはこの事なんだなと思った


星野リゾートが運営するリゾナーレというリゾートホテル
街並みと客室が一体となった隔絶された異次元の空間

唯一、外界の風景が目に入ってくるのはホテル棟に挟まれた広場だけ
しかも、そこで見える山々の綺麗なこと

計算しつくされた建物の配置は、マリオ・ベリーニというデザイナーの作品とのこと
建物で囲って視界を遮り独特の街並みを再現して、見せたいところだけを切り開いて、自然を取り込む

気球で拡がる視界とデザイナーの手で遮られた視界と

私たちの目に入ってくるのは、ほんとに世界の一部でしかないし、視界に映る風景が自分の心や感情をずいぶんと左右しているのだなと感じた秋のいちにち