一所懸命 『八人との対話』の続き

ここ、2、3日、暑さが和らいでいるようですね
薄着で出勤して電車の中でくしゃみをしたり、付けっぱなしのエアコンで寝冷えしたり、してる人はいませんか。この冬アメリカでの新型インフルエンザによる死亡者は9万人と予測されているようです。気をつけましょう。

さて、司馬さんの『八人との対話』の続きです
律令時代から変わって時代は鎌倉時代永井路子さんとの対談に書かれていました。
稲作に向かない関東ローム層も農業技術の進歩でどうやら人の住める土地になり、せっかく自分で開墾した土地、おめおめお米をお上に取られてなるものか、いつまでも農奴のままではいたくない、武力を持って自分達の土地を守る、それが動機となったのが、鎌倉時代の関東武士のはじまり。

土地に対する執着は強く、「一所懸命」という言葉にその名残を見出すことができる。自分の土地を守るために命を懸ける、という意味なのでしょう。
庶民が土地の所有権を公家国家に対して主張するのは中国や朝鮮では見られず、武力を持って自らの土地を守る。そういう武士階級が成立したから日本は19世紀になって植民地化を免れたというのが司馬さんの説。

鎌倉時代の初期は妻問い婚が残っていて、なんの財産も持っていなかった頼朝は北条政子に婿入りした、というのがほんとらしい。そして、土地を持たなかったがゆえ、東国武士の所有権争いの調停役として頼朝は頭角を現す。「御恩と奉公」の時代の鎌倉、所領を持たない頼朝が家来に与えることができたのは恩賞権だけだった。にも関わらす、義経が朝廷から頼朝を差し置いて冠位をもらってしまったがために、頼朝の逆鱗に触れる。義経は最後は弁慶と共に平泉の地で果てることとなる。

この司馬さんの対談集は、立花隆、西沢潤一、大江健三郎…、続くのですが、面白かったのは山本七平との対話かな。

『八人との対話』の次は、『この国のかたち』を読んでみることにします。