農奴から始まった日本国民の歴史

司馬遼太郎の『八人との対話』を読んでいる
山本七平との対話の中で、日本という国の始まりは古墳時代律令政治だろうという司馬さんの指摘がある。日本人は自農として生活をする歴史を持つ前に、豪農から鍬を借りて農作業をし、その日の作業を終えたら鍬を返す、そういう形で労働力を提供する、いわば農奴として為政者に使われることで、国というものを意識させられたのが、その始まりだという。

それは私達が今も「お上に税金をとられる。」という表現を使っていることからもうかがいしれる。欧米では国家(政府)というものは人工的に作られた仕組み、だから皆でお金を持ち寄ってよりよい物にしよう、不要なものなら変えてしまおう、という意識を市民が持っているのに対して、日本人はあたかも昔からあった自然物のように国家を考えているのだとか。

そう考えると税金の使い道に無関心でいる源泉徴収されたままの会社員は現代の農奴なのかも知れない。年金問題をきっかけに国家に対する盲目的な信頼が崩れてしまった今、勝間和代さんも提言していたけど、申告納税制を採用することで、税金の使い道への関心を高める事が、国家というものをよりよくしていくことのきっかけになるのかも知れない。