ハリウッドはいつまで世界の中心でいられるのだろう?

気が付いたら三冊目を読み始めていた重松清、こんな小中学生向けの小説を読んでいるためか、このところ思考の低年齢化が自分の中で進んでいる。その影響か、たまにみるTVのニュース番組の志向も変わって、先週見たのが、『NHK週刊こどもニュース』。子供向けと思って馬鹿にしてはいけない、難しいことを分かり易く伝えるのは難しいもの、先週はアカデミー賞授賞式についての解説。
http://www.nhk.or.jp/kdns/hatena/09/0228.html

おくりびと』がもらったのは"外国語"映画賞であって、"外国"映画賞ではないというのがちょっと面白くて、というのも、要は大きな賞を取るためには外国語ではない"英語"で映画を作らないと大きな賞は取れないという事なのだろう。なんてたって、”英語”はすでにデファクト・グローバル・ランゲージなわけだし。そういう意味では撮影はほとんどインドで撮ったという『スラムドッグ$ミリオネア』という映画のようにアカデミー賞8部門受賞するためには台詞は英語で語られるのが必須なわけだ。

今までのハリウッド映画は、有名な俳優を使って、無難な続編シナリオで、CGテンコ盛りにして、確実にヒットを狙って、莫大な制作費の元を取るというビジネススタイル、そういった映画とは異なる路線で賞を総なめにしたのがこの『スラムドッグ$ミリオネア』という映画なのだとか。(というのは海部美知さんのブログからのパクリなわけだけど)金融危機のあおりを受けてハリウッドにも投資資金が集まりにくくなって、低予算で集客力のある映画を作ることがこれからの一つの流れらしい。
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20090301/1235954749

NHK週刊こどもニュース』の中で、『おくりびと』に触れながら日本の映画も世界で認められるようになった、なんていうコメントを当然のような顔をしてしゃべっているNHKのアナウンサー、ハリウッドが認めた=世界、ということを前提としているのだろうけど、この常識、あと何年持つのかしら。なんてことを金融危機をきっかけに覇権を失いつつある(ようにみえる)米国の姿を重ねながら思っていた。

東京オリンピックやら大阪万博の時代なら、世界に追いついた=わぁ〜嬉しい、という図式は違和感なく受け入れられたのだろうけど、そろそろこういうのは卒業してもいいのかな。そうはいっても内田樹先生によれば、日本という国は、昔っから、どこかの国と比較しながら自分達の立ち居地を確認してきた歴史があるらしく、奈良平安時代なら、それは中国で、戦後はアメリカだったとのこと。

宗教心も希薄なこの日本という国の国民は、なにかと比較しながら相対的な位置づけの中で、国のありようを定義していくしかないのかも知れない。絶対的な価値観を追い求めて、勝ち目の無い戦を挑んでしまった過去の反省に立てば、それはそれで良いのでは、とも思う。

話を戻して、『NHK週刊こどもニュース』、判り易いし、妙に視聴者に媚びて無いし、酔っ払い大臣ネタで政治家をこき下ろしているだけのニュース番組に飽き飽きしているのなら、たまには見てみるのもいいかも、です。。