ウィークデー ライブラリ 『きみの友だち』と『断る力』

きみの友だち (新潮文庫)

きみの友だち (新潮文庫)

テーマはなんだろう、「みんな」と同調するな、ということかな
仲間はずれになること、いじめられること、をおそれる小学生が友達に気に入られようと笑いをとる、仲がいいという事を証明するために他の子を仲間はずれにする、友達って何、というのがこの本のテーマ。

小学校の時の交通事故で松葉杖無しでは歩けなくなってしまった恵美ちゃん、彼女とその弟ブンが学校の友達と繰り広げるさまざまな物語、そんないくつかの短編が二人の成長とともに描かれている。

人と同調することをしない、恵美ちゃん、彼女は『雲』の写真ばかりを撮っている。青空ばかりでは絵にならない、影があるから、雲があるから、空は綺麗にみえるんだよ、という彼女の言葉はとても印象に残った。子供だって明るい子ばかりじゃない、いろんな子がいていいんだよ、というのが著者のメッセージか。
そういえば、ボクのプロフィールに使っている写真も『雲』、少し影のある。

誰かが、その二人を見守っているという文体に違和感を感じていたのだが、その理由は、この小説の最後のページで明かされる、ああ、そういうことだったのかと納得。とってもいい、心温まるラストシーン

『KY』という言葉が子供達の間で使われていることからも分かるように、人と違う、ということを避けようとする傾向が日本人には強い。重松清が子供達の間で人気があるという。いじめがなにかと話題になる子供達の間でも心の問題は重大な関心事ということなのだろう。

断る力 (文春新書)

断る力 (文春新書)

勝間和代さんが最近出した本、『断る力』
その本の中でも、人と同調するのをやめてやっと楽になった、『Say No』と若い頃の自分に言ってあげたいと著者は書いていた。マッキンゼーコンサルタントをやっていた時代、睡眠数時間で、胃痛を我慢しながらクライアントと上司の期待に必死に答えていた。そんな彼女は出勤途中で自殺を考えたこともあったのだとか。
高収入を得て、はたから見れば成功しているようにみえても、自分の人生を他人の評価に委ねていては人は幸せにはなれない。


子供の世界と大人の世界、良く似ているよね、とこの二冊を読み比べながら思った。