左翼国家アメリカが招いた金融危機

先週日記で書いたように、経済学っていうのは何だろう、みたいな事をつらつらと考えてみて、自分なりの結論というのは、結局、経済なんていうのは生き物なので、理屈通りにはいかないもの。株やFXで儲けようと思うのなら、難しいマクロ経済学の本なんて読んだって役には立たない、ジェイコム株で有名になったデイトレーダーみたいにPCの画面の数字の動きを見ながら株の売買でもしないことには金融で生計を立てるのは無理なんだろうなって思っていた。

だから、今書店に並んでいる、金融危機の原因は何、みたいな本を読んだところで本質を見極めるのは難しく、徒労におわりそう。ふと、家の書棚から引っ張り出してきた西部邁の『獅子たりえぬ超大国』、6年前に書かれた本なのだが、当時イラクでの戦争を始めた米国がなぜ、かくも傲慢になってしまったのかとか、IT革命だ、金融工学だとかいったって、それはマモニズム(拝金主義)にすぎなのだよ、と語るくだりが、今の金融危機を予期しているかのようで面白かった。経済学者とか評論家という人は過去に何を著わしたのかで、評価されるべきなのだと思う。

著者の西部氏によれば、左翼主義というのは歴史から切り離された人工的な巨大な実験を社会に仕掛けることらしい、それに対して、右翼とは社会の歴史的連続性に執着する思想なのだとか。そういう意味では集団主義の左翼がソ連で、個人主義の左翼がアメリカ、なのだと。

計画経済が行き詰って崩壊したソ連、株主資本主義が招いた金融危機にあえぐ米国、いずれも左翼の内ゲバと、今なら著者は指摘するのかもしれない。

自分はどちらの立場の人間なのだろう?
科学がもたらす進歩は貧困の解決に役立つし、変化を好む思考が強いから、その点では左翼といえそうだ。でも、人が生きていくうえで何が大事といったら、やっぱり人と人とのつながり、とか、家族とか、友人とか、共同体が人の生活も心も支えていると考えているし、日本人としての常識みたいなものも、ないがしろにしてはいけないと思っているから右翼かも。

来週はクリントン国務長官が来日するのだとか、最初の訪問先が日本でよかった、なんて喜んでばかりもいられない。