社内旅行なんてダッセー、って言っていたあの頃から二十年

いまとなっては死語となってしまったのだろうか「社内旅行」とか「社員旅行」
80年代に社会人デビューした僕らの世代、入社した時にはバスを連ねての泊りがけの社内旅行というのがまだ存続していた。土曜日の早朝、会社の前に、10台もの大型バスが並ぶ様は壮観、行く先は草津やら、長野やら、伊豆、夜の宴会は新入社員の芸の披露というお決まりのパターン。

この手の旅行に最初に反対したのは、たぶん僕らの世代、土日ふつかも会社の人と一緒になんかいたくないよという若い女性達の声もあったし、会社とのベタベタとした関係は古いよね、もう、なんていう世の中の風潮もあった。その頃、社員も正社員だけでなく派遣社員が職場に登場。当時の派遣社員は専門的知識を持っていて、たとえば半年間働いて、半年間は海外放浪、なんていう人もいて、会社に縛られない、どちらかといえば、正社員からは羨ましがられていた。

そんな「社内旅行」、今の若い人たちからすると憧れがあるのだとか
先日も職場の20代後半の社員が週末ハイキングなるものを独自に企画して、メールで参加者を募っていた。仕事納めの先週も「XXさんのうち、今度うかがいたいですね」なんて、若手から声が上がって、実現はしなかったものの正月に上司のうちに挨拶なんて、披露宴に仲人を立てない今時の若い人たちは嫌がっているのかと思ったらそうでもない様子。

最近職場でも「うつ」になったり、出社拒否症になったりする人が増えているというけど、それも一つにはメールでのやりとりだけで、帰りがけの一杯や社内旅行のような仕事以外の接点が減った事も一因なのかも。

それに、これといった宗教を持たない日本人は個人として放り出されると生きづらい、隣人同士のつながりが希薄になって地域との共同体意識も薄いし、会社にも帰属意識が持てないとしたら、何を頼みにするのか、誰にすがるのか。mixiのようなネットを通じて自分を認めてくれる相手を探す、それも一つの手段ではあるけど、日々生活するリアルの世界での孤独は癒されないし、つながりを求める人としての本分は変わらない

不況風の吹く新年、仕事終えての軽く一杯に癒しを求める勤め人は増えそうな気がしてる