B787、炭素繊維の弱点

ボーイング社の新鋭機B787の完成が一年以上遅れている。北京オリンピックで初フライトによる宣伝効果を期待していたANA。この最新鋭機の特徴は燃費が3割も従来機に比べ改善されていて、整備コストも3割すくなくてすむ事が特徴。
その秘密は日本の東レが開発したアルミと比べ重さは2/3、強度は3倍、の炭素繊維
ところが、この炭素繊維に弱点があった。
飛行機に落雷があった時、従来機のように電気を通しやすいアルミでできていれば電流は機体の表面を流れて、翼から放出されていたのが、炭素繊維はアルミに比べて1000倍電気を通しにくい。電気が通りにくいのなら、雷も避けてくれそうなものだが、そうは問屋が降ろさない。雷の電気のエネルギーはとても大きいので、落雷は避けられず、電気の通りやすい場所、例えば金属でできたボルト(ねじ)のようなわずかなすきまのあるところをこの電流が流れ、放電すると、燃料に引火してしまうおそれがあるらしい。
そこで、ボーイング社はボルトの隙間を埋めるとか、炭素繊維に銅の線を通すとかして、この雷対策を進めているのだが、初フライトは1年近くも遅れてしまっている。

東レ炭素繊維の開発に早くから取り組んでいて、昔はコストが高くてゴルフシャフトのようなぜいたく品にしか使えなかったのだが、地道な技術開発を続けて、この新鋭ボーイング機への採用が決まった。長い年月をかけて開発された日本の独自技術だし、三菱重工を中心として日本製ジェット機量産の計画もあるし、なんとか早く解決の目処をつけて最新鋭機の初フライトを迎えて欲しいものだ。