ダビング10 (ダビングテン)

この間の日記でTVのアナログ放送が無くなっちゃうよー、古いTVだとTV放送が見れなくなります。というお話を書いた。
デジタル放送になると絵がきれいになるとか今日のお天気がTVで分かるといいこともあるのだけど、実はちょっと困った事があって、最近流行のHDD(ハードディスク)レコーダに録画したデジタル放送の番組はDVDへのコピーが自由にはできないようになっている。

アナログ放送の時には問題とされなかったのだけどデジタル放送はコピー(ダビング)した時の画質劣化が少ないので、HDDに録画されたTV番組を DVDに焼いてコピーを取るとHDD上に残された番組は消去してしまう事になっている。これは「ムーブ」と呼ばれている。だから、例えば海外に単身赴任しているお父さんに日本の番組を見せてあげたいと考えて、お父さんに郵送すべくDVDにその番組を焼いてしまうと、後から実家の家族のみんなが見たいと思った時にはHDD上からその番組は消えてしまっていることになる。そうなると、この映画はまた見たいからお父さんのとこには送るのやめとこうという事になって、一人暮らしのお父さんはますます寂しい思いをすることになる。

こりゃ、可哀想だ。
という事で考え出されたのが「ダビング10」という方式。これはHDD上の番組を9回まではコピーを許しましょう、でも最後の一回は「ムーブ」になってしまうので、10回以上のコピーをするとHDD上から番組が消去されてしまうというやり方。
これなら番組を作った著作権者の理解も得られるし、10回もコピーできれば消費者にも不便な思いをさせないだろうという事で合意ができていて、6月2日から実施される見込みだった。

ところが、先週デジタル機器への補償金問題で著作権団体とメーカ側が対立しているために、この「ダビング10」が実施されないことになりそうなのだ。


補償金、正確には私的録音録画補償金制度というのだが、1992年に著作権法を一部改正して導入された。一般的に知られているように、私的使用を目的としたコピーは認められている。だが、デジタル方式で録音や録画をする場合には一定の割合で補償金が徴収されることに当時なった。例えば、MD、CD -R、DVD-R等の記録メディアの販売価格にはこの補償金が上乗せされている。

だが、最近では記録メディアを使うよりもiPodのようなHDDや半導体モリーに音楽を録音して聞く人が増えたので、メディアに上乗せされていた補償金の金額が減ってきてしまった。(00年に42億円だった補償金の徴収は06年には28億円に減少)

これでは著作権者の権利が損なわれると考えた著作権団体側はiPodのようなHDD録音機にも補償金をかけるように要求してきた。じゃあ、HDDとかメモリーを積んでるPCとかにもこの補償金をかけるわけ?とかいう話になってくるわけで話の落しどころが見つからない。

この補償金問題が決着しない今の状況では著作権団体と同じ考えの放送局側も「ダビング10」の実施は見送る方針のようなので、6月2日に実施されるのは望み薄。夏のオリンピックとかはきれいなデジタル画質で保存したいと考える人も多いと思うのだが、今のままだと夏までに解決するのかどうか??