トヨタ自動車のマーケティング戦略

今月10日から独フランクフルトで開催されたモーターショーで超小型自動車『iQ』をトヨタ自動車が発表した。トヨタは2009年をメドに欧州で軽自動車よりサイズが小さく排気量1000ccの超小型車を販売する。

国内市場では軽自動車の売り上げ台数が伸び、県によっては新車販売台数の半分以上は軽自動車のとこもあるという。税金が安く駐車場所を取らない軽自動車は人気を得て、普通乗用車に比べて廉価な分、メーカ側にとっては利幅の少ない市場に国内はなってきている。

この超小型車を欧州で最初に売りに出すという事はマーケティングの戦略上どういう意味があるのだろうか?

国内でこの車を販売すれば、軽自動車よりボディは小さいのに排気量が1000ccのため軽自動車税が適用されず、この超小型車は値段が高く、日本のユーザから見れば「小さいのに値段が高い割高な車」になってしまう。

欧州でこの超小型車を成功させて、Smart(ダイムラーの小型車)に勝つ事ができれば、米国で成功したレクサスを日本に導入した例のように、海外での成功事例を日本にも持ち込むという戦略が可能になるのだろう。

「小さいのに値段が高い割高な車」から「小さいから価値がある値段が高いけどいい車」と消費者のマインドを変える事ができるかどうかが成功の鍵だ。

今週末にはF1グランプリが30年ぶりに富士スピードウエーであるというし、コースの改修にトヨタは200億円かけたらしいが、ますます意気盛んなトヨタである。先々週、ふと立ち寄った電器店で本物のF1カーを見てから、このグランプリが気になり、週末が楽しみだ。

おそらくは欧州でデザインされるであろうこの超小型車、どんな車になるのだろう。エマージングマーケットを攻略する上でも小型車は欠かせないし、この車の成功には大きな期待がかかる。