/// 痛快!憲法学 「第九章 平和主義者が戦争を作る」 より

6/26からの続き

  • この章に書かれている事

戦争放棄をうたう憲法九条があったから日本は平和になったと考える人は多い、だが、歴史を振り返ると不戦条約が、第二次世界大戦ヒトラーの進撃を許し戦火の拡大を招いたという。

  • あらすじ

☆ 第一次世界大戦の反省から生まれた不戦条約
二十世紀初頭には「戦争は政治の継続」というのが国際法の常識で国益追及のための戦争は認めれていた。だが、第一次世界大戦の惨劇を反省し、憲法九条の手本ともいえるケロッグ=ブリアン条約(不戦条約)が批准された。この不戦条約に代表される平和主義がのちの第二次世界大戦の原因になったとイギリス首相チャーチルは言っている。

☆ ドイツを復興させた経済政策
人民投票と巧みな演説により人心を掌握したヒトラーはまさに民主主義が生み出した独裁者であった。アウトバーン等の公共投資による有効需要の創出と軍備増強により経済復興を成し遂げた。当時世界不況から脱出できたのはドイツだけでした。それはケインズの経済理論より先んじていた。

☆ ヒトラーを助長させたヨーロッパの平和主義
平和主義でフランス軍が「張子の虎」になっている事を見透かしていたヒトラーベルサイユ条約破棄、ラインラント進駐と領土拡大を進めた。唯一イギリスの戦争屋チャーチルだけがヒトラーの危険性を警告していた。
ミュンヘン会談で平和主義の本場イギリスのチェンバレン首相がヒトラーに妥協、チェコスロバキアを併合したドイツはポーランドに侵攻、第二次世界大戦が始まる。

☆ 平和主義と軍備は矛盾しない
キューバ危機で核戦争を回避できたのはケネディミュンヘン会談を研究していたから。米ソの冷戦が冷戦のままで終わったのは戦争も辞さないという堅い決意があったから。

  • 感想

原爆で失われた多くの人命→2度と繰り返してはいけない→戦争反対→九条堅持 感情的には誰もがそう思う。だが、歴史の教えることは戦争の拡大を防ぐのは抑止力としての軍備しかないという事。こういう事は学校では教えてくれない。歴史に学ぶという事はこういう事なのだろう。