硫黄島での日本軍の勇猛な戦いが戦後の日本の経済的発展の礎となった主張する小室直樹の書。

最近ハリウッドで映画化されて、太平洋戦争末期の硫黄島での戦いが一般にも知られるようになった。面積20平方キロの小さな島で日本兵2万人と数千人の米兵がこの島での一ヶ月の戦いで命を落とした。中学の授業では、勝ち目の無い戦で多くの犠牲が出た悲惨な玉砕としか教わらなかった。

  • 著書から抜粋

硫黄島でのゲリラ戦による日本軍の極めて激しい徹底抗戦が米国に日本軍に対しての恐怖心を植え付け、米国に本土上陸をあきらめさせ原爆の使用を決断させ、再軍備できない憲法の制定に繋がった。

日米安保により日本は軍事的には米国の庇護の元、軍費を経済復興に充てる事が可能となり、戦後の経済的発展につながった。朝鮮戦争ベトナム戦争、共に日本の経済復興にはプラスとなったのに対して、韓国は戦場となっただけでなく、ベトナムにも米国の同盟国として参戦した事と対照的。

・栗林中将という人は若い頃は倉田姓と名乗ったらしいが、陸士卒業後、武官として海外に赴任、米国ではシボレーを駆って米国中を巡って見聞を広め、米国の豊富な物量と合理精神を肌で学んだ。水際防衛という常識にとらわれる事無く、要塞化による防御戦術を合理的に決断した。

硫黄島では地下水には硫黄が混じり、地下陣地は50度を越える。そんな劣悪な環境下、司令部を父島にはおかず、自ら硫黄島に赴き、兵隊らと寝食を共にした栗林中将への信頼があったからこそ、兵士の士気を保ち米軍への徹底抗戦が可能となった。

以上は著書の一部を紹介。

憲法改正のための手続きが国会で議論されている昨今。戦後日本で戦争が起こらなかった真の理由は何だろう。冷戦が当の昔に終了した今、米国にとっての日本の位置づけも変わってしまっている。

日本が戦場とならないためには?