人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?

山本 一成 著
最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質

2029年に訪れるシンギュラリティ、人工知能AIが人間の知恵を超え自ら学習し、人はAIに教えをこう日が来るという。ディープラーニングのなんたるかを知らずとも誕生して数年でしかないアルファ碁がプロ棋士に勝利した事実は多くの知的労働が計算機に取って代わられる日がそう遠くない事を予感させる。

専門用語を使わずにAIの日進月歩の進化が将棋と囲碁を例にわかりやすく解説されている本

コンピュータに出来る事は単純な計算を高速に実行する事と大量のデータを蓄積する事のふたつ。人間が記述したプログラムにのっとり間違いの無い答えを出すのが取り柄だと思っていた。

2016年3月グーグルのAI人工知能アルファ碁が韓国の李セドル九段に勝利した事件が話題となった。そのAIの持つ機能がディープラーニングと呼ばれる機械学習
機械学習というのは人が教えなくともコンピュータが過去の棋譜から自ら学ぶ技術。

人が思いつかない手を編み出し、今ではプロ棋士がアルファ碁の技を真似るようにすらなっているのだとか

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アルファ碁は盤上の碁石を画像認識して次の手を考えている
論理的にどの手が良いのかを計算するのではなく、いわば恐ろしく勘がいいAIなのだという

機械に対して勘がいい、と褒めるのも妙なものだが、ディープラーニングという技術には理屈では理解しえない手法が盛り込まれていて、著者はこれを黒魔術と呼んでいる。

このAIを更に強くするためにコンピュータ同士を対戦させて腕を磨くというから、なんだか映画マトリックスを彷彿とさせて気味が悪い。

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ディープラーニングのためには学習用の大量のデータが必要で、ネットに上がる画像や文章を片っ端から入力して機械学習をして画像認識の能力を高めるのだという

昔、ゴリラの写真をグーグルのサーバに画像認識させたら、黒人、という回答が返ってきたのが話題となっていたが、そのような誤認識をしてしまうのはネットにその手の好ましからざる情報が溢れているせいだったらしい。

だから、計算機に正しく知恵をつけてもらうためには、みんなが「いい人」になって乱れた情報をネットに挙げないようにするのがいいと著者はすすめる

シンギュラリティの提唱者レイ・カーツワイル2045年との予想を2029年と早めた。人工知能技術の進化は指数関数的に早まっているのだとか

どんな未来が待ち受けているのやら