出雲旅日記、その2グローバリズムについて


先の日記では境内と隣接する旅館に訪れる欧米旅行者の話に触れた。
旅慣れた西洋人にとって、浅草や京都だけでなく、ひなびた温泉宿であったり、朝のおつとめにも参加させてもらえる寺と一体となった旅館等はエキゾチックな魅力があるに違いない。
帰宅の便が羽田に着いた時、搭乗したJALカタール航空とのコードシェア便だった事に驚いた。ヨーロッパの主要都市から出雲行きのフライトがある、世界はそんなにも繋がった便利で小さな世界になっていたのかと。

日本中どこへ行っても中国人の旅行者はいるものよ、と友人は行っていたけど、松江での堀巡りのようなマイナーな旅のイベントでも同船したのは中国人の家族連れだった。もはや銀座での爆買いに飽きた旅行者達は日本のニッチな観光地を目指していると聞いたけど、確かにそんな気はしている。

イギリスでは国民投票によりEU離脱が決まった。国外での軍事力展開をやめよと訴える米大統領選保守党トランプ候補。
今、世界中で「グローバリズム?もういいよ」という声が上がっている

英国では安い賃金で働く東欧からの移民に仕事を奪われたと感じて人やかつてのグレートブリテンへの郷愁を断ち切れない人達が「EU離脱」への一票を投じたと言われている。

米国という巨大市場、日本という単一民族による市場、これらの経済発展を横目で見ていた欧州各国が、経済的規模を追い、国境をなくす事で、より豊かになる事を求めて結成されたEU

理念は素晴らしいけど選挙も経ずに権限を獲得したEU官僚たちへの反発と、目の前に起きている大量の移民による治安の悪化や失業への不安など、英国民の不満が今回の投票結果に現れたのであろう。

それにしても、日本という国は、出雲大社のような神社を、何千年もの間、遷宮やら修復やらを重ねながら維持してきたのだなと、彼の地に行って感じた。

60年も経てば朽ち始めてしまう木造の神社、それを作り変えてきた

仏教が来ようと、黒船が来ようと、ここ出雲の地だけでなく、外の文化を取り入れながら古いものは破壊しない、その融通の効かせ方こそが一神教とは違う八百万の神の存在を認めている日本人の特性なのではないかと神社を見ながら思った。

経済の分野ではグローバリズムを受け入れながら、文化的には「二礼二拍手一礼」の義に従う、そんな精神性は、宗教戦争などとても起こしそうにない日本人の気質ともつながっている気がする。
(ちなみに、出雲大社では「二礼四拍手一礼」が正しいのだそうな)

グローバリズム、必ずしも善ならず
この所の世界の動きからは、そんな思いが伝わってくる