伝えるという事は、波があなたの元に届くという事

私がこうして書いた文字はあなたのパソコンか携帯の画面の上で文字となり、その濃淡があなたの網膜上に映し出され、わずかばかりの電気信号となって脳に伝わって、あなたは今、僕が伝えようとしている事を理解している。

あながた見ている文字は、漢字とひらがなとで構成されていて、日本という国で同じ言語を学んだ者同士、その漢字の連なりが何を伝えようとしているのか、分かりあうことができる。

それは、なぜかと聞かれれば学校教育で、例えば、「感謝」という漢字はこういう意味だと繰り返し反復して刷り込まれたから

同じことを繰り返し何度も、伝えるということにはこの同じ事を繰り返す、という営みが欠かせない

ある音を聞いて心地よいとあなたが感じる時、音は空気の疎密波となって鼓膜を揺する。鼓膜は1秒間に同じ強さで千回ほど揺すぶられ、その揺すられた回数分だけあなたの脳に微弱な電気信号となって届く。

ここでも、やはり同じ強さを繰り返す事で、信号は意味を持つ

何かを遠くへ伝える事を通信と呼ぶ

糸電話は紐の振動が音という信号となって伝わるので分かり易いけど、今時の通信は、こうして僕がパソコンで打った文字が自宅のWiFi光ファイバーとインターネットと、あなたの携帯電話の基地局とあなたの携帯電話とその電話の上のディスプレイと、という何重もの経路を隔てて、届いている。

いったいこの経路を伝って、どうやってあなたの元に僕の考えている事が伝わっていくのか、とっても難しそうだけど、一言で説明しちゃうと「同じ強さの繰り返し」だ

その繰り返しの周期を早くしてあげると、とっても早く、とっても大量の言葉が伝えられる

同じ周期での同じ強さを繰り返すと、それは「波」になる

もし、1秒おきに同じ強さを繰り返すとするなら、周期的に繰り返されているのだから、1時間前の強さも1秒前の強さから類推できそうだ

「波」というものの持つ不思議な性質が、こうして遠くへ文字を伝える事を可能にしている

こうして空間を伝わる波は、電波と呼ばれる