「椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる!」 酒巻久著 30年前のオ
椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる! 酒巻久著
会議室から椅子を撤去して居眠りを無くす、自分の言葉として発言しない人は会議への参加資格を与えない、そして更には、デスクワークも立ったまま業務を進める。
その結果、フットワークが軽くなってface to face のコミュニケーションが取り易くなる。
キャノン電子酒巻久社長の2005年に発売された本
弊社でも、ひとりひとりのオフィスワーカにノートPCが支給されるようになって、会議の風景が変わった。
発表者は自分のノートPCを会議室のプロジェクタと接続してその場で作った資料(パワポとかエクセルとか)をスクリーンに出して議論して、議事録もその場で書きながら全員で内容を確認する。
資料はノートPCに入れておくだけでなく、社内のサーバに上げておけば、いつでもネットワーク経由で閲覧する事も可能だ。
そして、最近ではプロジェクト毎の課題やスケジュールを、これもネットワーク上で「見える化」するのが流行のようで、情報が迅速に組織内で共有化されている。
30年前のオフィスの風景を知る僕らの世代にとって、あの頃と今とどれだけ仕事がやり易くなったのか、時々振返ってみる時がある。
メールでの連絡が皆無だったあの時代
連絡手段は主に電話。隣り合う人の話もなんとなく聞こえてきて、だから、隣の人が何をしているのかも分かってしまうものだった。
手書きの資料がファイル棚に整理されていて、自分に必要な書類はコピーを一枚一枚とって手元においた。報告書は回覧用紙なる付箋が付いていて、必要な人に回されていて、読み終えるとハンコを押していた。
報告書へのコメントは手書きだったから、職場の人達の筆跡が区別できていたのも、なつかしい思い出だ
この本にも書かれていたけど、パソコン無くしてメールではなく直接、向かい合って話をしたら、仕事って実は効率が上がるんじゃないかと思う時がある
メールで長々と自分の考えや心情を伝えるというのは、離れた場所にいる相手となら理解できるけど、毎日顔を合わせられる距離にいるもの同士がメールでやりとりするのは、面と向かってではいいにくい事柄だから
そして、往々にしてこの手のやりとりは誤解を生んでお互いの関係を悪くしがち
この本でも同じフロア内でのメールには罰金を科すルールを作ったとかで、それは一理あるなと思う。
メール内容の監視まで進めるのは、やや行き過ぎな気がしていて、amazonの書評でも、メール監視や立ち作業に焦点があたっていて、著者を非難する意見が多い。
手書きのコメントは記憶に残る
メールでのコメントは他の多くのメールと同列に埋もれていく
電話で話せば相手の声の調子から、切迫感も伝わるけど、メールで「優先度高」で送られた所で受けてに伝わるとは限らない
30年前の手書きのレポートは今もファイルされて残っているけど、10年前のファイルはPCを買い換えた時に消去してしまった
どうも、最近のデジタルツールで作られた情報って早く伝わるけど、その寿命は短い
というような著書の中身とは離れたノスタルジーに浸った一冊でした