風立ちぬ

爽やかな朝、私達が小学生の頃の夏休みの早朝を思い起させる今朝の曇り空。

ラジオ体操のために広場に集まる子供達にとって朝は気持ちの良い風が吹いていた。エアコンなんてものはどこの家庭にも無かったから、午前中の涼しいうちに宿題を済ませなさいと親たちは言った。
でも、午前中には、夏休みこども劇場とかって、TV番組がアニメの再放送をやっていて、ついつい、TVの前に座り込んでしまっていた。

宮崎駿のアニメに初めて触れたのも、たぶんあの頃
サイボーグ009」のような白黒のアニメの作画に彼は携わっていたと、ネットで知った

未来少年コナン」というアニメが一番印象的で、科学と戦争、人類の進歩と自然、初監督として手がけたこの作品の頃から、彼の描く世界観は一貫している

風立ちぬ」という映画は淡々としたストーリで見てて眠くなってしまったのだが、見終えた後も、荒井由実の「飛行機雲」がみょうに耳から離れない。ワクワク感を求めるのなら、「ラピュタ」見ながら、「バルス」とかつぶやいている方が楽しいかも(笑)。

世界に類の無いなにかを創り出そうとしたら、寝食を忘れ、病身の妻でさえ置き去りにしてしまう、という技術者ののめり込む姿は理解できる。「天才とは異常な集中力の持ち主のこと」と誰かがいったはずだが、この映画でゼロ戦を生み出した主人公もその一人だったのだなと思った。

紙と鉛筆と計算尺から生み出されたゼロ戦、かたや手書きの原画作りにこだわるスタジオジブリ、CADやCGに頼らない肉筆で描かれた創造物を作り出す男たちの姿は重なって見える。

この「風立ちぬ」という映画、恋物語でもあるようなのだが、女性たちは、どう見たのだろう?
あるいは夏休みの子供たちには、どんな印象を残したのだろう

立ち位置によって違うのかも知れない、強烈な印象は残らないけど、涼しげな秋の高原を思わせるさわやかな物語でした