ユニクロ着てiPhone片手に国のあり方を語るという事

ユニクロの社長さんが、社員の給与が1億円と100万円に二分化するのがグローバル経済の行く末、という記事が話題になっていた。

そんな事になったら日本でも格差が広がるじゃないと憤ってはみても、ユニクロのフリース着てiPhoneを使っているという事は、100万円以下の賃金でモノづくりに携わる中国国民と企業のあり方を応援しているのと同じこと。

スマートフォンひとつを取り上げてみても、韓国のサムソンが四半期(3ヶ月)で6千万台、日本のN社が年間3百万台と、その規模の差は桁二つ位広がりそうで、とても国内で作り続けられるとは思えない。

安くていい物を買う消費者しての行動が結果的には国内での雇用の場を減らしてしまうのは皮肉な事だけど、鎖国でもしない限り、同一労働同一賃金の流れは止めようもなく、ユニクロの社長の言葉は世界の常識なのかも知れない。

海外への雇用の移転はモノづくりだけかと思いきや、今では大連(中国)には日本語の仕様書で仕事を請け負う月給15万円で働く優秀なIT技術者が既にいる。大連のIT技術者を養成する大学の卒業生は年に3万人。IBMMicroSoftだけでなく日本の企業も次々と安いコストを求めて仕事を発注しているのだとか。

日本語が一つの壁となって、雇用が守られていた領域も、こうして仕事は海外へと流出していく。

アベノミクスで円安に振れてはみたものの、既に海外での生産を進めている日本企業が多い中、値段の差だけで輸出が増えるはずもなく、原発停止で石油の輸入が増え8ヶ月連続の貿易赤字

年2%のインフレだと5年後には1割物の値段が上がるのかしら。5年後に給与が上がっている事は想像できない壮年世代としては、あまり嬉しい話とは思えない。

企業のあり方と国のあり方と

『Grow or Die』とユニクロの社長は社員に檄を飛ばしているらしいけど、そこにはなにがしかの「夢」が語られえないと、気持ちが付いて行かないと思う。

夢や未来を語れない企業や国では疲弊してしまうばかりだもの