宗教週間に観る紅白歌合戦

ビデオとかハードディスクレコーダとかが普及してしまった今、昭和の時代のように家族団らんの中心に居間のテレビがあった、という時代は過去のもの。とはいえ、年末の紅白歌合戦だけは家族でみたいという習慣もまだ健在なのではなかろうか

クリスマス(キリスト教)で始まり、除夜の鐘(仏教)を聞きながら、神社(神道)に初詣する、舶来文化を取り入れる事に抵抗の無い日本人、宗教週間もそろそろ終わりに近づきつつあるこの正月、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

今年の紅白は、水樹奈々のステージでは観客席のペンライトが一斉に点滅&色が変わったり、嵐のステージではCGとリアルタイムで合成してみたり、MISIAはナンビアの砂漠で風の音を全く拾わない優れもののマイク使ったりと、さすが世界のNHK、その技術力の高さを見せつけてくれた。

しかも、美輪明宏ヨイトマケの唄でモノトーンのシンプルな、でも心深く打たれる哀惜の滲んだステージだったり、技術に頼らない演出までして、さすがは「放送は文化」と言い切るNHKK-POPに頼らずとも内容のある番組編成。

このNHK(日本放送協会)という略称も、思いっきりドメスティック感が漂っていて、JBA(Japan Broadcast Association)と名乗っても良さそうなもの。

通信の世界ではガラパゴス携帯がグローバルスマホに取って代わられつつあって、放送の世界でもグローバル化の波に浸食されそうなものだけど、文化=日本語なのか、放送業界の立ち位置は今も健在。

この国民の善意に頼った集金システムで始まった、皆様のNHK、世界でも稀に見る集金方法だと思うが「なんとなく国がやっているから大丈夫」という昭和の時代の国民気質に今も支えられていて、だからきっと、国民としての一体感を大晦日の夜に紅白を通じて提供してくれる事も視聴者が期待する処なのだろう

オリンピックと震災からの復興という2大テーマを番組の軸に据え、歌唱力の高いベテランと躍動感溢れる若い歌手を組み合わせながら3時間近くのプログラムに視聴者を引き付ける。インターネットの時代になったとはいえ、日本人としてのアイデンティティを再確認する役割を放送は担っているようにみえる