核安全保障サミットと普天間と九条

日本国内にある9割の米軍基地があって、島の六分の一が基地だという沖縄県。先週ワシントンの核安全保障サミットに出席してディナーの席で10分しかオバマ大統領と話す時間を割いてもらえなかった鳩山総理。

普天間基地の問題を理解する上で憲法9条が日本人のメンタリティに与えた影響を、時間という縦軸と世界地図を広げながら国と国との利害という横軸で考えてみたくなった。

(縦軸)
平和憲法護憲派、どちらも誤解を与える用語のような。
憲法に規定しているのは平和を希求するという感情ではなく、武力を放棄するという手段。自衛隊憲法に違反している事は自明、護憲派と名乗る人達は丸腰になれといっているのか。手段と結果、事実を感情を混同してはいけない。憲法はきまりであって、七夕の願い事とは違う。改憲を議論することすら拒むというのはただの思考停止だと思う。

歴史を振り返ってみれば、日本に武力を持たせたくないと考えた米国、軍事力に使う予算を経済復興に使いたかった日本。したたかな吉田首相の選択は結果として日本の経済的な繁栄につながった。共産主義の防波堤としての役割を期待して日本に対しては、市場を提供し、特許の使用を認め、米国は日本の製造業の発展に対して概ね友好的だった。

(横軸)
世界地図を広げてみれば分かるように、西北からの共産主義陣営の軍事力と東南からの自由主義陣営の軍事力とのバランスがとれたのが北緯38度。それが今の北朝鮮と韓国との国境となった。朝鮮戦争当時、嘉手納基地は空爆の最前線となった。もし米国の日本への関心が中途半端なものであったなら、日本は戦場となり、北と南に分断されいたのかも知れない。戦後、日本が戦場とならなかったのは、憲法9条があったから、というより米国との関係が密であったから、という事なのだろう。

過去60年間戦争がなかったという事を根拠に9条が大事というのは、補助金による公共事業にたよる地方自治体、年功序列にすがろうとする大企業の社員、今まで通りでうまく行くはずと過去にすがるというメンタリティにおいては一緒。今ある現実、そして10年後、20年後の日本を想像しながら、解決策を探る、その姿勢が必要だろう。

(そして、両軸の交点にある今の現実)
鳩山総理とは10分しか話をしないのに、中国の胡錦濤国家主席とは1時間半もの対談をなぜオバマ大統領はしたのか。イランへの核技術供与、チベット問題、北朝鮮と近い関係にある中国、核兵器拡散を抑止するという上で中国と取引せざるを得ないのは明らか。普天間基地の移設は日本の問題。移転先の地元と交渉するのは日本政府の役目、それがすんできてから話を持ってきてね、というのが米国の立場。

グァムに全部持ってきますか?いいけど、空母建造計画のある中国軍は、宮古島沖縄本島の間の公海を軍艦で行き来しているけど、大丈夫?
あとは自分でやってね。と米国に言われたら、どうするのか。

国民の一人ひとりが民主党を支持するかいなかは普天間問題ひとつにとらわれることなく、郵政民営化地方主権財政再建、○と×と、どちらが多いか少ないか、その上で判断すればいい。

鳩山首相を腰抜け呼ばわりして非難するのはたやすいけれど、交渉のテーブルに着くための札(取引の材料)が何か。島民の気持ちを考えて云々という感情論は心地いいけど、「あの人、いい人だよねぇ〜」と外交の場でなめられてしまったら、国益を失うだけ。

例えば、
オバマ大統領の広島原爆ドーム訪問
胡錦涛主席の靖国参拝

ありえねぇ〜、と思わずに、もし、そうなるのはどういう状況の時か、想像を巡らすことは、日本の十年後、二十年後について考える上であり、かも。



美術家森村泰昌氏がこの写真を模して作った映像が印象的だった。茶屋を営む自分の生家の売り場を背景に、その前に父マッカーサーと母裕仁が立つ。
東京都写真美術館に展示中? 見に行ってみようかな。。。
http://www.syabi.com/topics/t_morimura.html

今日は家でひとり、家族のいない時間というのも、これはこれでよし、と思う。
静かな午後