官僚の天下り

田原総一郎のコラム
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070719_20th/
を読んで、参議院選での安倍さんの不人気の理由の一端が分かったような気がした。
ようは天下りを制限された官僚たちの逆襲という事らしい。

小泉前首相もできなかった公務員改革

橋本龍太郎元首相も公務員制度改革に取り組んだ。当時はこれを行政改革と呼んでいたが、公務員の数と給料を減らし、官房長が握っている天下りの権限を奪うことを狙ったものだった。これに全省庁が協力すると言って官僚が集まったが、それは実は全く逆で、いかにこの改革を骨抜きにするかということに知恵が絞られた。

社会保険庁が自ら情報をリーク
社会保険庁は、政府・官邸には何も知らせずに「大丈夫、大丈夫」と言いながら、民主党を中心にした野党、そして週刊誌、新聞に、いかに年金の記録がめちゃくちゃになっているかを、どんどんリークしたのだ。
自爆テロ的リークをもって、安倍内閣がいかに信用できない内閣か、いかに危機管理能力のない内閣か、いかに不甲斐ない内閣かということを満天下に知らしめたのだ。

天下り改革に全省庁が反発
今までは、まず特殊法人に天下る。天下って2年か3年いてさらに天下る、さらに天下る。この最後の天下りまで全て各省庁の官房長が斡旋をしていた。それを全部取り上げて、人材バンクが斡旋する。しかし1回だけでその後はしない。「あとは自分で勝手にやれ」ということだ。
現役の官僚時代に得る収入は人生の半分。あとの半分は、その後の天下り先で得るというのが、これまでの官僚の人生だった。

なぜメディアも公務員改革に反対するのか
ある新聞社の幹部は、「そんな改革をやったら優秀な人間が官僚にならなくなる。そうなると日本の行く末が思いやられる。だから断固反対する」と僕に語った。また、マスコミはなんだかんだいっても主な情報源は官僚たちだから、官僚たちが反安倍政権になるとマスコミも安倍不支持となるのだ。

サディスティックな“安倍いじめ”
このように、社会保険庁解体と公務員制度改革は、自民党内外からの安倍政権への逆風となっているといえるだろう。だが、この安倍政権への逆風を仕掛けたのはとりも直さず官僚であり、自民党内の反安倍勢力である。そしてそれを煽っているのがマスメディアだ。その壮絶な反撃に安倍政権が苦境に立たされているというのが、参院選を前にした今の状況なのだ。


官僚の天下りについては池田信夫さんがブログの中で
「問題は天下りをなくすことではない」
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/6e2f7d8eabab076e1bd8027b0566d437
と優秀な官僚が霞ヶ関に留まらず、活躍の場を広げ易い環境を整えるべきと自説を展開している。

アメリカでは共和党民主党の政権が入れ替わるとワシントンの官僚たちも総入れ替えになると聞いた事がある。官僚、ロビイスト、民間企業と人材の流動性は高い。池田氏の意見はアメリカ政治の人材交流を思わせる。

名誉、権力、財産、この三つを同じ人が持っていると革命が起こるという説があった(誰が言ったか忘れたが)。

官僚は権力がある代わりに薄給、それでも職務を全うする志を失わないのは、国を動かしているという使命感(満足感)と天下り先での高給だろう。

個人的には人材の流動化(官民ともに)が日本にとってはいい事だと思うのだが、民間企業でさえ、最近は終身雇用が保証されてそうな企業の方が学生には人気という。

国民の意識がどちらかといえば欧米なんかに較べて安定志向ですから。
官僚だけをバッシングしても可哀想ですね。