バルブの時代って、どんなだった?

先日、会社の若手に「バブルの時代」ってどんなだったんですかと聞かれて、あの時代を少し振り返ってみた。

80年代の終わりから91年頃までだろうかバブル景気とよばれる時代があった。当時飲み屋はどこも混んでいて、つまみは高いわりには味はいまいち、道路も夜中まで混んでいたし、スキー場でのリフト待ちは一時間、 それでも、2年おきに車を買い替えて車検を通した事がないという若者はいたし、毎年スキー道具を買い換え海外旅行にもでかけるOLもいた。

たしかに中古マンションの値段が10年経って2倍になったりしていて、売って儲けた人もいただろうが、所詮は住宅、売ったらかわりに別の住宅を買っていたわけで、目に見える形での資産がそれほど増えたわけではなかった。なかには、4000万円で買ったマンションが中古市場で7000万円になって、なんとなくリッチになった気分の人もいたわけだが、実際に売って貯金が増えたわけでもなく、なんとなく気分が良くて、家族で海外旅行にいったり、車や家電の買い替え需要につながったように思う。

その当時、結婚して住宅を購入する世代になっていた人達は交通の便の悪い場所にゆとり返済を利用して30年住宅ローンを組んで住居を購入したわけだが、今はその住居も半値の価値しかなくなってしまった。

考えてもみて欲しい、新居購入後10年経って、自分の住居が2倍の価格で中古市場にでまわっている状況と半分の価格で中古市場に出回っている状況と 所有している建物のサイズも利便性も同じで 貯金も収入も同じであっても お金の使い方は変わってくるだろう。

バブル当時なぜ それほどまでに住居購入にこだわったかというと まだ土地や家屋は資産だと多くの人が信じていたから。確かに70年初のオイルショック以前に土地を購入した世代の人達はその後土地の値段は2倍になったわけで、そんな話を親から聞かされて育った世代が 高いローンを組んで住居を購入したのもうなずける。

そして今なぜ土地の値段が上がらないのか。
都心周辺について言えば、海外に工場を移転した製造業の跡地が次々と放出されているからだろう。川崎駅前、武蔵小杉駅前、都内まで30分程度の駅前に高層マンションが次々と建っているのはそのため。これら企業がもっと早期に手放してくれていれば土地の値段もむやみに上がらずに済んだはずなのに、バブル当時はこれらの企業は土地価格の上昇による含み資産の増加を担保に資金調達を進めていた。

景気がいいという事と庶民の生活が楽という事はイコールではないというのが実感。今は手頃な値段で住居も購入あるいは賃貸可能だし、学生の就職も売り手市場になりつつある。

若手には「バブルの時代が良かったという記憶はあまりないし、今はそれほど悪い時代ではないんじゃない」と答えておいた。