トフラーさん、『富の未来』

前々回の日記でも触れたコムソンの件はグッドウィルグループ外への譲渡でけりを付けようととしているようだが、まだこの先波乱がある気がして目が離せない。外交面ではロシアのプーチン大統領ルーブルでの原油取引を宣言したようで、イラク戦争の泥沼化で軍事力による基軸通貨としての力を失いつつあるドルに代わって、資源を盾にルーブルの国際通貨としての価値を高めようという戦略は資源本位制とでも呼ぶべきなのだろうか。

話変わって、ただいま読書中の本の話。
20年ぶりに読んだアルビン・トフラーの本『富の未来』。

昔、『第三の波』を手にした時にはそこに描かれている光ファイバーによる通信革命や在宅勤務などとても目新しく、ワクワクして読んだのを思い出す。この書に啓蒙されて光ファイバーを扱う会社に就職した友人もいた位よく読まれた未来学の本だった。

しかし、昨年発行されたトフラー教授の『富の未来』はなぜか物足りない。上下巻あわせて800ページにもなろうかという大作だが、書かれている内容は世に既に出ている本の引用ばかりに思えて主張に新鮮味が感じられない。『第三の波』も同じようなスタイルで書かれていたと記憶しているが、当時はインターネット等なく情報の羅列でも十分に読者には面白く感じられたのだと思う。

茂木健一郎は『フューチャリスト宣言』の中で、大学の崩壊を予言していたが、インターネットで情報が手に入るこの時代、ただの情報の羅列だけでは大学教授は仕事を失うだろうという事をトフラーの本を読んで感じてしまった。まぁ、80歳近いトフラーさんが時代遅れになるのはやむをえないが、これから先、知の分野での仕事を選択する人達は従来の常識が通用しないという覚悟が必要だ。

大学のブランドだけでヌクヌクと生き延びているだけの教授は仕事をなくすんじゃなかろうか。