検証 民営化 20年の風景 (日経)

社員 NTT30万人→20万人 JR 20万人→15万人
売上 NTT5兆円→10兆円 JR 5兆円→7兆円
利益 NTT0.3兆円→ 1.3兆円 JR △1.3兆円→ 0.7兆円

昔、三公社五現業という言葉があったのをご記憶だろうか?

今では考えられないが、20年前の国鉄はストは毎春、値上げも時々あって、料金は並走する私鉄の2倍。中曽根内閣の時代国鉄の組合の反対を押し切り民営化、八重洲国鉄の労組の前でシュプレヒコールを挙げていたのを思い出す。民営化の際、何兆円とあった借金と国鉄所有地は国鉄清算事業団に引き継がれ、事業団は民営化したJRの株主となった。そのJRは今や駅の中あるいは駅ビルの高層化により店舗事業を拡大、更にはSUICAによる決済等の新規事業にも手をつけている。

NTTは1985年に民営分割化。第二電電IDO等との競争を経て、投資失敗による一兆円もの損失があったもののドコモは高収益を保っている。固定電話の長距離通話も昔と較べると安くなった。東京と大阪間は五分の一になったらしい。高速ネットの利用料金も東京は世界で一番安い。これはADSL事業で安値攻勢をしかけたYahoo孫正義の貢献が大だろう。昔は電々御三家(NEC oki Fujitsu)と呼ばれた時代もあったが、NTTはNGN(次世代通信網)ではCiscoとも協業するらしい。

20年前民営化の嵐に巻き込まれた知人がいた。国鉄に勤めていたTさんは仕事を辞め、実家に戻って農業を始め、電電公社に勤めていたYさんの電話工事を担当していた部署は別会社に転籍させられた。人生計画が狂ってしまったと感じた人達も多くいたに違いない。

痛みを伴わない改革はない 
20年たった今、あの時の民営化はどう総括されるのだろうか。